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クレーの交遊録
短い通勤時間で「クレーの日記」(P・クレー著 南原実訳 新潮社)を読んでいます。ようやくクレーの経歴の中で、自分がよく知っている画家の名前が出てきました。カンディンスキーやマルクです。彼らの「青騎士」も登場してきました。表現主義から非対象絵画に向かいつつある時代で、自分が今まで幾度となくNOTE(ブログ)に書いてきた興味の尽きない時代です。クレーもその中で頭角を現してきたようです。日記から時代の雰囲気を読み取ろうとしていますが、やはり日記だけあって個人的な記述が多く、時代そのものを網羅することはできません。それでも新時代の芸術は多くの大衆に認知されないものの、新しい傾向の作品を扱う画廊や書店が出てきたことが伺えます。クレーが日記でアルプを売名家と書いているところは生々しくて面白いと思います。また、ベルリンの「シュトルム」のヴァルデンをこんなふうに記述しています。「彼は片ときも口から煙草をはなしたことがない。参謀のように走りまわっては、命令を下している。彼はたしかに非凡な人間だ。が、どこか片端なところがある。彼は、画など少しも好きではないのだ。ただ、画を嗅ぎ分ける才能がある。」クレーの交遊録はますます楽しくなってきました。