2012.10.14
新作のイメージは制作の途中で突如湧くことが多く、今回は何かが天上から降りてくるような錯覚を持ちました。「発掘~地殻~」は既に2012年5月から制作が始まっていますが、題名は先日思いついたばかりです。当初のイメージとしては、大地に張った樹木の根が表面に現れ、奔放にうねって増殖を繰り返す世界がありました。その内部に佇む生命体のような構築物。甲冑に覆われた都市。都市は大地に抱かれつつ幾星霜に亘って繁栄を極め、やがて没落していく運命を生きているように思えます。そこに萌芽する文化や宗教等の魂の目指す方向が民族によって示され、あたかも都市に命が宿るが如く興亡を繰り返してきた歴史を鑑みて造形イメージをまとめました。それは20代の頃に旅したエーゲ海沿岸の遺跡から得た造形イメージを発展させて、都市そのもののこれからの運命を推察しながら制作していく方向に他なりません。「発掘~地殻~」は従来の陶彫に加えて木彫による表現を併せます。樹木の根は木彫で表し、内在する陶彫の都市を覆います。展示方法として屏風に仕立てます。今回の彫刻制作にあたって、O.シュペングラー著「西洋の没落」から多くの示唆を受けていることをつけ加えておきます。