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「縄文の音」読後感
「縄文の音」(土取利行著 青土社)を読み終えました。カタチとしては残っていない縄文時代の音や歌の追求は、世界各国に伝わる民族古楽器や伝承歌を調査し、その共通項を探って縄文時代へ繋げる方法を取らざるを得ません。打楽器奏者である著者は、銅鐸を演奏する機会や、有孔鍔付土器を楽器として解釈し、再現された縄文鼓を演奏する機会を持ち、考古学とは一味違う創造的楽しさを本書に盛り込んでいます。あとがきに「~前文略~日本国という名が定まったのはおよそ七世紀のころ。それ以前はまだ縄文時代以来のクニグニが日本列島の各地に存在しており、そのクニグニには熊襲、隼人、国栖や、『風土記』で土蜘蛛などと総称されている様々な民族がそれぞれの社会を作って暮し、蝦夷やアイヌ民族もまた独自のクニを形成していたはずである。しかしこれらのクニグニは七世紀末ころに、当時は近畿を中心とする日本列島の一部にすぎなかった日本国の侵略を受け、各々のクニビトは日本人と化していったのである。そしてアイヌや沖縄の民族は、この日本国に対し近代にいたるまで抵抗を続けた。そしてそれは、日本国の農耕・仏教に対する狩猟および漁撈・アミニズムという文化的・宗教的抵抗でもあった。」とあるように、縄文文化が南方だけでなくアイヌとも繋がっていることを本書は事例を基に説いています。考古学の検証はこれからも続き、本書のような音楽家の視点で縄文文化を紐解くこともあり、また造形美術の視点では既に論考されている書籍もあります。自分は折に触れて縄文文化に関わり続けたいと思っているところです。