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映画「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」雑感
昨日、橫浜のミニシアターに「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」を観に行ってきました。フランス映画でしたが、実話を基にしているそうで、脚本は当時生徒だった男性が書いたものが発端になり、女流監督と協働して作り上げたようです。映画の最初に流れる荒れ放題になった高校1年生のクラスは、生徒が勝手に音楽を聴いたり騒いだりしている厳しい状況で、教師は進級や進路の話題を持ち出しますが、それが生徒の神経を逆なでしてしまい、負の連鎖が広がる結果になっていました。人種差別の問題、宗教の問題、移民その他諸々の問題を孕んでいるフランスの教育現場は、なかなか大変だと思わずにはいられませんでした。そこに赴任してきたベテランの担任教師が提案した課題解決学習。それは誰もが知るナチスの大量虐殺(ホロコースト)に関するものでした。心の荒んだ生徒たちに投げかけられた究極の悲劇。しかも全校コンクールに応募することでゴールが設定されます。恥をかくだけだと劣等意識丸出しの生徒たちに、粘り強く訴える担任教師。自分と同じ歳の子たちに突然襲いかかった悲劇に、次第に引かれていく生徒たち。原題の「受け継ぐ者たちへ」というのは歴史上の負の遺産を受け継ぐと同時に、社会(学級)と連帯することで得られる貴重な自分の体験や知的資産を重ね合わせて、この映画のタイトルにしていると思いました。イスラム教に改宗したばかりの男子生徒が名前を呼ばれるたび、アラブ系の名前を名乗って一歩も譲らない場面がありました。結局彼はコンクールに行かず、クラスの仲間を見送っていました。映画では何気ない場面でしたが、実話らしい事実が伝わりました。今後も移民を受け入れている国家では、さまざまな問題が噴出してくるだろうと思います。教育がどう関わっていくか、難問が山積する中で世界共通語である人権擁護を中心に据えて、真の教育を施していく方策が現在も急がれています。グローバルな世界認識が進めば、日本もいずれこうした課題に向き合うことになるだろうと思っています。