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映画「クボ 二本の弦の秘密」雑感
先日、家内の希望で観に行った映画「クボ 二本の弦の秘密」は、日本マニアのアメリカ人スタッフが作り上げたストップモーション・アニメで、膨大な時間と手間をかけて、繊細かつ大胆な映画に仕上がっていました。スタジオ・ライカのこうした技術は世界最高峰らしく、人物や妖怪の動き、荒れ狂う大海や竹林、村落や民衆に至るまで美しさに溢れた映像を作り出していました。人形のポーズや表情を少しずつ変え、1秒に24回のシャッターを切る根気強さから生み出された流麗な動きは、実写には見られないモノ作りに対する気概が感じられました。主人公クボは三味線によって折り紙に命を与える才能を持つ独眼の少年で、村ではそんな大道芸をやって人気を博していました。侍だった父の話や月の帝として君臨する祖父の話を母から聞かされて、亡き父の声が聞きたくて灯篭流しに出かけたクボが、悪霊になった叔母や祖父によって事件に巻き込まれ、伝説の刀や鎧や兜を手に入れるため、母親代わりのサルや剽軽な武士クワガタと旅に出ることになります。クボの眼を狙う月の帝やその他魑魅魍魎と闘う中で、クボが三味線に意味のある2本の弦を張る場面があります。それは両親の支えがクボに強い心を与えるというものでした。監督は様々な場面で日本の古き情緒を盛り込んでいました。葛飾北斎の「神奈川冲浪裏」の大波や、歌川国芳の「相馬の古内裏」の巨大な骸骨を髣髴とさせる化け物などが登場し、ストーリーより美術的なイメージが先行しているのではないかと思わせる場面も数多くありました。監督は黒澤明や宮崎駿を参考にしているとパンフレットにもありました。観終わった後、よくぞここまで作ったなぁというのが私の本音です。家内も感嘆していて、上映最終日を気にしていたので、本作を三味線仲間に見せたいと思っていたのかもしれません。