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映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」雑感
昨晩、家内と横浜市都筑区鴨居にある映画館に、今話題となっているアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を観てきました。「新世紀エヴァンゲリオン」は20数年前に社会現象となり、私もそのアニメーションが創りだす独特な世界観に触れました。近未来の地球では大惨事があり、崩壊された都市に生き残った人々がいて、さらに人類補完計画を打ち出す組織がありました。どこからともなくやってくる使徒に立ち向かう汎用人型兵器エヴァンゲリオンをその組織が持っていて、それに搭乗する少年少女たちの心の葛藤を物語の中核として、使徒と戦うアクションシーンが盛り込まれていました。そこには地球規模の惨劇とそれに立ち向かう組織を動かしている父、エヴァに乗る息子、他のエヴァに乗る少女たちの関係性がありました。全編を通して摩訶不思議で、しかも不安定に満ちた要素があり、宗教性を感じさせる謎に包まれた得体の知れない世界が存在していて、それがこのアニメの魅力になっていると私は思っています。私は登場するメカニックのデザイン性にも着目していて、またエヴァに搭乗する少年少女たちがエヴァと神経接続を行う場面にも面白さを感じていました。所謂巨大ロボットが登場する勧善懲悪な物語ではないところに、この物語の醍醐味があって、惨劇を引き起こした人類がこれからどう生きていくのか、魂を繋ぐために何をすべきか、シリアスなテーマである一方、家族の普遍的な在り方も描いていて、観た人がいろいろ感じ、また議論を呼ぶところかなぁとも思っていました。私は倒壊された風景の片隅で、槌音が聞こえるように演出された田植えの場面が好きでした。これは大震災を経験した私たちにはリアルな世界でもあるからで、具体的な未来の方向を描いている唯一の心の拠り所でもあると思っています。この映画を観に行こうと思ったきっかけは、NHK番組で放映された「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、エヴァの総監督庵野秀明氏が取上げられていて、エヴァ制作に命を削っている作家の真摯な姿が随所にあったところを垣間見て、自分も表現こそ違えど彼に共感してしまい、これは映画を観に行くしかないと思ったのでした。コロナ渦の中で感染を心配しながら映画館に足を運びましたが、最終上映は人も少なくて良かったと思っています。