Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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陶彫制作&版画美術館へ
今日は午前中は工房で陶彫制作に精を出していました。いよいよ3月も終盤になり、私は7月の個展で発表する陶彫立方体の完成状況に焦りを感じています。そのため美術館へ行こうと決めていた今日も、午前中は陶彫制作をやっていました。工房には春休み期間中の美大生が植物デッサンをやりに毎日顔を出しています。彼女も私に負けじと熱心に制作を続けています。工房に制作者がもう一人いることは、私にとって大変有難く、お互いが張り合いになっていると感じています。その美大生を誘って、今日の午後は東京町田市にある町田市立国際版画美術館に行きました。そこで開催されていたのは「版画の青春」展で、副題を「小野忠重と版画運動」と称していました。展覧会に出品されていた作品は1930年代からのもので、関東大震災から復興したばかりの首都圏を舞台に展開された、創作版画運動を扱ったものです。創作版画とは、自画(じが)・自刻(じこく)・自摺(じずり)を基盤とした、自ら原画を描き、版を彫刻し、紙に摺る工程を一人で行うものです。現在では当たり前のことですが、浮世絵の伝統がある我が国では、版画は分業制になっていたため、敢えて創作版画と呼んでいたのでしょう。私は学生時代にドイツ表現派の影響で、ざっくりした白黒木版画を作っていました。その際に日本の戦前の創作版画運動を知り、創作に向かう作家の意欲を自分の青春時代に被せていたのでした。版画家の中では小野忠重がクローズアップされていますが、私は水船六洲という版画家の作品に興味があり、版画家集団にその名前を見つけて、本展を見に行こうと決めたのでした。作品がいずれも地味だったためか、20歳そこそこの美大生にはピンとこなかったらしく、彼女からたいした感想は出てきませんでした。この展覧会は私が懐古に浸りたかったために訪れたので、美大生を付き合わせてしまったようです。それでも詳しい感想は後日記します。