Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 瞑想空間を感じた1週間
週末になりました。今週を振り返ってみようと思います。今年の個展が近づいてきたことで、陶彫制作に精を出し、今週の制作時間は日々午後4時過ぎまで延長していました。以前の教職との二束の草鞋生活ほどではないものの、朝目覚めると多少なり制作に対する強迫観念が沸き起こっていて、そそくさと工房に出かけていました。休憩を取りたいところを我慢して作業に打ち込む毎日でしたが、今週は窯入れをしなければならないこともあり、それを水曜日の夕方に設定しました。窯入れをすると窯以外のブレーカーを落として、焼成が滞りなく出来るようにしていたのでした。翌日は工房の電気が使えないために、それを口実に東京の展覧会に家内と出かけていきました。展覧会で印象的だったのは「ブランクーシ展」で、こんな大掛かりにブランクーシの作品を集めたのは日本では初めてではないでしょうか。現代彫刻では普通になっている幾何学的抽象形態や磨いた金属の質感など、実はブランクーシが先駆者なのです。現在の眼から見ると普通の形態だったモノが、何か特別な空気が漂っているように見えたのは、私だけだったのでしょうか。まさに私は瞑想空間に迷い込んだ錯覚に襲われました。書籍から知るブランクーシの性格も不思議だったようで、偏屈と思われがちな人とも言われていました。師事したロダンの作風を否定したブランクーシでしたが、ブランクーシの弟子であるイサム・ノグチはブランクーシを肯定し、その発展形で成功した彫刻家でした。私自身はブランクーシの創作の原型を知ろうとルーマニアまで出かけて行ったことがありました。ルーマニアの寒村で見た木彫柱に、形態を純化していく過程でブランクーシが参考にしたと思われるアイデアを見つけていました。それを彫刻の本質まで削ぎ落していき、まさに瞑想する哲学を彫刻に結晶させた作品に、私自身も自らの作品を振り返って思索を確認しました。今週は印象深い1週間でした。