Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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個展に寄せられた2通の手紙
私の個展が終わり、ホッとしていたところに、励ましの手紙を2通受け取りました。今回の個展に関して開催期間中ずっと私はギャラリーに詰めていて、知人・友人として来廊してくださった方々には声をかけさせていただきました。その折に話をさせていただきましたが、さらに作品に対する感想を手紙にして、封書に入れて送ってくださった方々がおりました。口頭で話したことより、吟味された内容になっていたので紹介したいと思います。まずは横浜で文筆家として活動されている90歳代になられた恩師からの手紙です。「『構築~視座~』でしたか、『かるみ』ということばを伺い、納得しました。従来のひたむきな『発掘』にはげむ一時、視点を変えると天空の美しさに気がつかれたのでしょう。~略~芭蕉の俳句に接するには十五~六のキーワードがあります。『わび』『さび』に始まり、晩年は盛んに『かるみ』に言及しています。『奥の細道』の旅を終えて、『不易流行』『風雅の誠』に理解を深め、この『かるみ』へと発展していきます。」私にまだその自覚がはっきり芽生えているとは言えませんが、作品を中空に留めてみたいと考えたのは事実です。私の「発掘シリーズ」は重力の産物で、大地に埋め込まれた存在を表すものです。そこからの解放は次へ繋がるテーマかもしれません。次に横浜に事務所を構える女性税理士からの手紙です。この人とは庭園に話が及びました。「私が見た庭は東福寺の八相の庭と松尾大社の曲水の宴・上古の庭・蓬莱の庭でした。それから東福寺のすぐそばの光明院の波心庭も重森三玲作でした。」彫刻作品を前にこんな庭の話で盛り上がるのは、私の世界観に多少庭園的なニュアンスが宿っているからと考えてもいいのかもしれません。それはそれで嬉しい発想だろうと思います。庭園的な発想は今後も続きます。今回は様々な人がギャラリーを訪ねてこられて、その人なりの作品解釈を聞かせていただきました。有難うございました。