Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 彫刻の配置を考える
日曜日になり、創作活動について書いていこうと思います。現行の作品を考える上で、どうしても頭を過るのは先日出かけた「ブランクーシ展」の印象で、ここ数日はずっとブランクーシについてNOTE(ブログ)を書いています。彫刻作品は周囲の空間に与える影響があるため、作品をどのように配置するかを作家は熟考するのです。私は個展の時にギャラリーに作品をどう配置するのか、手伝ってくれるスタッフたちと相談して決めていきますが、作家によっては普段から工房(アトリエ)に複数作品を配置して、制作空間と展示空間を同時に見せている人もいます。大学時代に師匠の池田宗弘先生の自宅に伺った際に、真鍮直付けの作品が所狭しと置かれていたのに驚きましたが、それだけではなく、漆喰の壁にギャラリーのように展示されていた壁掛けの作品にも感銘を受けました。そこで鑑賞した先生の作品は、作家の世界観を雄弁に物語っており、自宅が仕事場兼用のギャラリーになっていました。大学を出て、ヨーロッパに渡航した頃に訪れたパリで、ポンピドーセンターの向かいにあったブランクーシのアトリエにも印象深かった記憶があります。もともとブランクーシはロンサン小路の集合アトリエに入居していて、そこを拠点に制作を長年続けていたようです。アトリエには展示空間もあって、それを見ればパリで個展を開催する意味がなかったのではないかと図録に書いてありました。京橋の「ブランクーシ展」でもアトリエを模した部屋があって、そこに抽象彫刻が複数配置されて、光を取り組むような照明が演出されていました。あぁ、パリではこんな感じだったなぁと私は思いを巡らせましたが、私が見たブランクーシのアトリエは作家没後に移転された場所だったようで、そこで作家が活動したことはなかったのでした。いずれにせよ、彫刻には配置が極めて重要な空間演出となるわけで、私の工房にはそんな演出はありません。旧作は木箱に入れてロフトに積んであるので、これは今後考えていくべき課題だなぁと思っています。