Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

淡々としたドラマを観る理由
最近、テレビの地上波やそれ以外でも放映されていると必ず観てしまう番組があります。地上波では金曜日の深夜にやっているテレビ東京の「孤独のグルメ」です。スーツ姿の中年男性がひとり黙々と外食をとっている、それだけの内容で淡々としたドラマです。何故こんな山場がない番組をつい観てしまうのか、日本の社会環境が変化して、独身や一人で行動をとる人が増えてきた現象なのか、私はドラマのディテールに拘るスタッフの制作姿勢が、ちょっとした日常を取り戻したい人々の欲求に敵っているからではないかと思っています。私も妙な安心感を持ちながら、気楽に「孤独のグルメ」を観てしまうのです。今日の朝日新聞の記事に「孤独のグルメ」に関する記事があったので、NOTE(ブログ)で取り上げることにしました。作者の久住昌之氏の言葉を引用いたします。「『孤独のグルメ』は、僕が原作で、作画の谷口ジローさん(2017年に死去)と20年以上前に描いた漫画です。谷口さんは、1コマ描くのに1日がかり、というのが当たり前で、背景もすごく細かく描いてくれた。何でそんなにと聞いたら、『大きな見せ場も何もない、ひとりの男が食べるだけ。五郎の気持ちを伝えるのにはちゃんと描かないとだめなんだ』と言う。ドラマのスタッフも、その精神をよく理解してくれている。納豆をかき混ぜるのを、30秒撮り続けるのが『孤独のグルメ』なんです。」時代が求める番組の魅力はそんなところにあるのかもしれません。私が自らの生活で日常化している陶土との付き合いも毎日淡々としています。「孤独のアート」と呼ぶべきか、全体を捉えつつ次第にディテールに拘っていくのは、当番組の制作姿勢に繋がっているのではないかと思うところです。味覚も美意識も近いものを感じています。