Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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9月RECORDは「呪縛に抗う」
私は陶彫制作に併行して一日1点ずつポストカード大の平面作品を作っています。その総称をRECORDと称していて、それは文字通り毎日の記録です。2007年から取り組んでいるので10年以上も毎日制作しています。教職にあった時に教材研究の一環として日記を描くように始めたものでしたが、まさかこんなに長く続くとは思いもよりませんでした。当初はイメージトレーニングのような気楽な気分でやっていましたが、実際に始めてみると意欲に溢れている日ばかりではなく、湧き上がるアイデアを待っている時間的余裕もないため、学校から帰った夜に自宅の食卓で、疲れた頭を振り絞って制作をしている按配でした。帰宅途中の電車の中で今晩もRECORDをやらなくてはいけないという脅迫観念に駆られていた時期もありました。自分で自分の首を絞めているのではないかと思った時期もありました。それでも止められなかったのは何故でしょうか。創作への執念?自分自身への宣誓布告?よく分かりませんが、継続を宝とする自分自身の座右の銘なのかもしれません。そんなことを振り返っていると、今月のテーマを思い切って「呪縛に抗う」にしてしまおうと思って、日々のRECORDを始めています。自分自身への呪縛、それは悪いことばかりではありません。手枷足枷があってこそイメージを絞り出すことも出来るとも思っています。時間的な制限を設けずに完全に自由になってしまうと、果たして作品を作ることができるかどうか、私には分かりません。作品は社会的ニーズがなく、生活を経済で支えてくれるわけでもありません。人から必要とされないモノを作り続けることは至難の業なのです。美術系の学校を卒業した後、創作活動の面白さや楽しさを知りつつ、自分の生活を優先してしまい、将来余裕が生まれたら創作活動をやろうと思っても、その頃には意思が揺らいでしまって、結局創作活動は青春の一ページになっている人が多いのではないかと察しています。「呪縛に抗う」ために呪縛を自分に課すことも必要と考えます。今は創作活動一本でやっている自分は、やっと自分の夢の実現を果たしている実感があります。