Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 凌ぎ易くなった工房にて
このところ朝晩は急に冷え込んで、秋を通り越して冬が到来した按配です。工房にはまだ大型扇風機がありますが、そろそろロフトに片付けようかと思っています。その代わり大型ストーブが必要かもしれません。凌ぎ易くなった工房にて、今日は朝から夕方までしっかり陶彫制作に励みました。週末になると、以前の二束の草鞋生活の名残で、6時間以上は工房に留まってしまうのです。美大受験生がやってくる影響もありますが、それだけではなく今まで培った習慣がそうさせていると言えます。凌ぎ易い季節はそう長くは続かないので、今が創作活動の勝負どころといったところでしょうか。陶彫部品は中規模作品の成形や彫り込み加飾をやっています。今日は工房を引き上げるときに窯入れも行ないました。制作を続けていると時間が経つのを忘れます。疲労も感じず、不思議な気分に支配されます。陶彫制作は身体を酷使しているはずですが、やはり精神労働が占める部分が多いのだろうと思います。適度に硬くなった陶土に彫り込み加飾を施す際に、時折全体を考えることもあります。職人仕事とは言え、今まで培った技能に溺れることはありません。確かに陶土の表面を見つめている時は、近視眼的な作業になりますが、ひとつの彫り込み文様が全体に関わるところも気にかけています。これは彫刻や工芸に携わる者なら必ず気にかける私たちの習性とも言えるもので、そうした気の使い方をしているからこそ、時間が経つのが早く感じられるのだと思います。何度かNOTE(ブログ)に書いていますが、彫刻は労働の蓄積で出来上がっていくもので一気呵成には出来ません。画家の友人が個展搬入前の数日間で作品を一気に作り上げてしまえることを、私は羨ましく思っています。集中して一気に作り上げることの方が真に迫る作品が出来るのであれば、そうした方法も良いと思います。それに比べ私の選んだ表現媒体は何と愚直で手間がかかるものだろうと思っています。意思や意欲を瞬時に爆発させられない自分は、長く一歩ずつ意欲を積み上げていくしかないと思っているのです。