Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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作家が収集する民藝品
昨日、東京立川にあるPLAY!MUSEUMで開催中の「柚木沙弥郎life・LIFE」展に行って来て、本職の染色作品の他に、作家が集めた各国の民藝品が同じ空間に展示してあり、興味関心を持ちました。作家が収集する民藝品には、創作の源になっているモノがあり、造形した作品よりも作家らしい雰囲気が窺い知れるコレクションがあると言っても過言ではありません。染色家柚木沙弥郎氏のアトリエがテレビで撮影されたときに、各国で収集した民藝品や玩具が所狭しと置いてあって、その雑然とした部屋のなかで作家が渋紙から型紙を作っている場面が映し出されていました。とくにメキシコの玩具のデザインに作家が惹かれているようで、その収集の楽しさが伝わりました。それは形のみならず色彩にも独特な感性があって、玩具を見ているだけで創作意欲が湧くものかもしれません。私もそうした収集癖が理解できます。私はヨーロッパにいたときにルーマニア正教の聖像画やトルコの平織り絨毯に興味が湧き、貯めたお金を全部つぎ込んで購入した記憶が甦ります。イタリアのベニスでは陶製の仮面を購入してきました。帰国後に社会人になった私は、アフリカの仮面に惹かれて、時折民藝店を巡ってはそのコレクションを始めています。東南アジアに旅行したときにもインドネシアやタイで仮面を手に入れてきました。仮面は精霊なのか悪魔なのか魑魅魍魎か、人間ではない奇怪な生命を持ったものだろうと思います。その始原的な造形には民族的な逞しさを感じています。作家が収集するモノは、自らの創作意欲を高めてくれるモノであり、自らの世界観に近いモノなのかもしれません。非日常に浸っているからこそ興味関心があるのです。「柚木沙弥郎life・LIFE」展では、作品の他に面白いモノを発見して、とても楽しくなりました。