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「日本の先史仮面」のまとめ
「仮面ーそのパワーとメッセージ」(佐原真監修 勝又洋子編 里文出版)の「日本の先史仮面」をまとめます。「非日常的な状態に変化するために顔をおおうもの、あるいは頭にかぶるために木、皮革、骨、布、粘土、金属などを材料にして作った面や被り物を、仮面と呼ぶのが習わしである。しかし、顔あるいは頭をかたどっているが、大型または小型で大きさが合わずに人がつけたりかぶったりできないものも、仮面と同じ形をしているならば、それらも仮面と呼ぶことが普通である。」そうした仮面の最古のものはどんなものだったのでしょうか。「世界でもっとも古い仮面の証拠は、旧石器時代までさかのぼる。フランスのレ=トロワ=フレール洞窟(約二万年前)の壁画には、頭にトナカイの角付きの被り物を着け、体を鹿皮でおおった人物や、頭に野牛の角をつけ体もそれに似せた人が踊っている姿がある。」またシベリア先史の仮面についてこんな記述があります。「アムール川のサカチ=アリャンとウスリー川のシェレメツェヴォ河岸の玄武岩の塊に線刻してある顔は、仮面の表現とされている。五・六千年前の新石器時代のものという。」古代中国の仮面について述べた箇所です。「甘粛省の仰韶文化や馬家窯文化にみられる新石器時代の『人面陶塑』つまり人面付き土器の顔は、仮面を着けた状態を表現しているという説がある。」それでは日本ではどうだったのでしょうか。「縄文時代の仮面は古い時期には知られていない。約4000年前(中期末)にまず貝製品として九州に登場する。~略~縄文時代の仮面は皮革製品、木製品、樹皮製品が主であって、それを珍しくも土製品に写したものだけが残っているというのが真相なのだろう。」また土偶についてこんな文もありました。「仮面をつけたと見うる土偶の数は多い。縄文土器は、『いかに大きく、そして立派な作風を示すものであっても、神像とはいい難く、精霊の宿す人間的姿態をそなえた依代として作られた』と考えるべきであって、『顔つきは人間らしいものと、人間らしからざる怪奇なものとがあるが、いずれも呪術によって、これに精霊の降臨を乞い崇拝したものであろう。精霊が宿れば土偶自体もこれと同格のものとなる。だから当時の人々にとって、土偶は精霊の憑拠とするかぎり、それを具象化したもの、いいかえれば精霊それ自体の姿と感じたに相違ない』、と甲野勇はいう。」弥生時代の仮面には鳥のモチーフがあり、それはこんな信仰からきているようです。「銅鐸・土器の絵から弥生時代の信仰の対象は、鹿・鳥(サギ・ツル)・祖先であったと推定できる。また、鳥形の木製品の存在からも鳥に対する信仰があったことがわかる。」(引用は全て春成秀爾著)