Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 新作三層目の刳り貫き作業
今日は週末ですが、ウィークディと変わらず工房で過ごしました。ウィークディと違うところは美大生や美大受験生が工房にやってきて、それぞれの課題に取り組んでいたところです。彼女たちの真摯な姿勢に私は背中を押され、私自身も頑張って新作の制作に邁進しました。新作の「発掘~崩層~」の土台加工も残すところ三層目の造形となり、今日は刳り貫き作業にほぼ一日を費やしました。「発掘~崩層~」は陶彫部品を点在して配置する構成ですが、その土台となる厚板は三層構造になっていて、それぞれの層に三角形文様の刳り抜きをしていくのです。一層目と二層目は既に刳り貫きが終わっています。一層目はさらに面上に砂マチエールを施してあるので、三層目が完成すれば、砂マチエールを全ての層に施す準備を整えています。ただし、三層目は鑑賞者の眼に触れる面積が大きいので、三層目の構成デザインが作品を左右するといっても過言ではありません。私の作品は大地から発掘された架空都市を造形しているので、陶彫部品だけでなく、大地を表現する土台にも留意する必要があります。言うなれば陶彫部品をよく見せる補助的な役割ではなく、土台そのものも作品として内容を雄弁に語るものでなければならないのです。今回は区画された範囲を不明瞭にしました。領土の考え方を止めて、周囲を崩れたような曖昧なものとして捉えることにしました。しかも三層とも崩れたものにしています。昨年は円形を土台にしましたが、そこが今回の作品が前作と大きく異なるところです。ここまでくると気持ちが昂ぶり、先を急ぎたくなりますが、一日6時間以上の作業は身体に負担がかかるようで、突如辛くなります。加齢のせいとは思いたくないのですが、集中力が切れるのは自然の成り行きかもしれません。また明日、仕切り直そうと思いなおして工房を後にしました。毎朝目覚めると、新作のことが頭を駆け巡り、また朝から工房に籠る生活が始まるのです。そんな毎日を送っている昨今です。