Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 工房にやってくる人たち
相原工房は、私が自らの彫刻制作の場として建てたもので、自宅から少々離れた植木畑の中にあります。亡父が造園業を生業にしていたため、その畑を私が受け継ぎました。工房は鉄筋平屋建てですが、ロフトがあり、天井には荷物をロフトに上げるためのリフトがあります。床はコンクリート造りで窯が設置してあります。作業台がいくつかあり、トイレと水場も完備していて、陶彫制作のための環境を整えてあります。工房は賃貸料を取って貸すことはしていません。週末には私の教え子でアートに関わっている人たちが出入りしているので、以前は貸し工房と誤解をされたこともありました。教え子は高3の美大受験生から、現在美大に在籍している学生、さらに社会人に至るまで年齢には幅があります。美大や芸大を卒業して工房を必要としなくなる人たちもいて、工房にやってくる人たちは、その時によって人が変わります。その人たちは、たとえば私の図録用の写真撮影や個展の搬入搬出を手伝ってくれていて、その時は有能なスタッフとして働いてくれます。制作でも必要とならば砂マチエール施工の手伝い等をしてくれます。普段はそれぞれの課題をやっていますが、同じ空間で過ごすために、私は彼らから背中を押されるように制作に励んでいるのです。最近工房にやってきた後輩の木彫家は、ほとんど休みなく木材を彫っていて、そのバイタリティに圧倒されます。彼は勤務していた学校に置いてあった旧作を、工房のロフトに運び込んできたので、当分は工房を使うことになりそうです。とりわけ彫刻制作は、場所の問題に悩まされることが多く、大学を卒業しても制作が継続できない現実があります。学生時代は優秀な作品を作っていても、場所の問題で創作活動を諦めざるを得ない人がいるのも確かです。人によっては地方に住んで、制作場所の獲得に努める人もいますが、首都圏から離れてしまうとアート情報が入り難いこともあります。幸い相原工房は横浜にあるため、利便性も手伝って、創作活動を展開する場としてはなかなかいいのではないかと自負しています。