Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 素材と向き合う
週末になると創作活動についてNOTE(ブログ)を書いています。今回は彫刻の素材について述べていきます。アートの広域な範囲の中で、彫刻に表現を限定すれば、彫刻表現の独自性には素材に対する理解が欠かせません。立体的な造形物を作ろうとした時に、イメージを優先するか否かで制作方法が変わります。それは素材がもつ特徴でもあり、たとえば木材や石材のように自然の産物であれば、頭の中のイメージを優先したところで、そのような素材の入手ができない場合があります。木彫家や石彫家はまず目の前にある素材を見つめて、そこに内蔵されたカタチを掴むところから制作を始めていきます。自然によって育まれた産物の声に耳を傾け、その素材と対話するように彫り込んでいくのが一般的な制作方法です。それに比べて土は自然の産物でありながら、可塑性のある素材のために、イメージを優先する制作方法が可能です。その土であっても、石膏取りをしたり、鋳造をしたりする従来の保存方法もあれば、プラスチックや合成樹脂で型取りする方法もあり、土の粒子によっても微細な造形が可能です。私の表現方法は土の焼成です。それは古来から日常使う器としての陶芸史があるのですが、焼き物が彫刻として認識されたのは、1948年に京都で結成された「走泥社」の活動が最初のようです。つまり現段階では陶彫の歴史は新しいと言えます。ところが縄文時代の土偶などを彫刻と認めれば、陶彫の辿った道は古代から続いていて、古代との繋がりをイメージすればなかなか面白いものになるだろうと私は感じています。そうした出土品のような現代彫刻をやってみようと試みているのが、私の「発掘シリーズ」です。そんなことを考えながら、今日は工房で陶土に触れていました。縄文人も同じような作り方をしているんだよなぁと思いつつ…。