Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 春一番が吹いた日
まだ夜が明けない前から自宅の外が強い風に晒されていました。自宅は小高い丘の上にあり、台風など暴風雨の騒音で眠れない時もあります。今日はどうやら春一番が吹き荒れていたようで、周囲にある雑木林の枝が風に靡いていました。今年は寒い日が多く、暖かくなる季節を待ちわびていたので、春一番は歓迎でした。気温も高めになっていて、やっと創作活動に相応しい季節が到来したのかなぁと思いました。今日は日曜日なので、いつものように若い人たちが工房にやってきて、それぞれの課題に真摯に取り組んでいました。気温が上がったことを実感したのは、彫り込み加飾を終えた陶彫作品を乾燥させるために置いてある場所で、陶土が乾燥する速度がやや早くなったことが挙げられます。陶土は乾燥すると白っぽくなります。私の作品は素焼きをしないので、徹底的に乾燥させる必要があり、陶土の色が完全に変わってしまうまでは、次の制作工程には移れません。暫し放置することも重要な制作工程で、陶彫は焦って作れない素材なのです。一気呵成にできないのは、私の気力の問題だけではなく、陶土のもつ性質にも関わっているとも言えます。常に陶土のことを気にかけていて、その湿り気を触って判断し、成形や彫り込み加飾が終われば、目で見て乾燥を変色で判断する必要があります。時に放置できず、また時には放置する工程があり、陶土はまさに生き物だなぁと思うこともあります。毎日朝から夕方まで陶彫制作をやっていると、知らず知らずのうちに身体に疲労を溜めている可能性があります。教職にいた頃の週末の過ごし方では切羽詰まった状況があり、制作を終えて自宅に帰ると、ソファに横になったまま起き上がれないことがありました。今はそんな厳しいことはありませんが、彫刻が精神の産物である限り、精神と肉体双方に負担を強いていることは確かです。それでもとてつもなく面白いと感じ、ヘンなストレスを抱えない爽快な気分にもなれるのは、創作活動を続けていく根源的なものだろうと思っています。