Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 美大の卒業制作展へ
工房に出入りしている美大生を誘い、彼女の先輩たちの卒業制作展を見に行きました。同じく工房に出入りしていて来月から多摩美術大学に入学を決めている教え子も連れて行きました。出かけた場所は相模原にキャンパスがある女子美術大学です。普段工房に来ている子は工芸学科で染織を専攻しています。女子美の中では染織の作品はなかなか見応えがあるなぁと思いました。美大は専攻によってそれぞれ雰囲気が違い、おそらくそれは指導者の違いなのかもしれませんが、彼女が女子美で染織を専攻したというのは良い選択だったと思います。卒業制作展に出品している作品の中には労作が多く、内容も優れたものもありました。毎年、卒業制作展に訪れていて感じていることですが、素晴らしい施設と教授陣に囲まれて、4年間、または6年間を過ごした学生は、これから社会の荒波に揉まれていくことになり、そのギャップに悩むのだろうなぁということです。美術の制作は各人の個性に立脚した自己研鑽に尽きるといっても過言ではなく、それを数年やってきた学生にとって、社会のために尽力することはなかなか大変なことです。私の教え子たちも社会に出ることに悩みつつ、何人かは私と同じ二束の草鞋生活を送っています。つまり表現活動をそのまま続けながら、就職もして多忙な中で頑張っています。それがやり切れるのかどうか、人生に後悔を残さないためにブレずにやっていける持久力が必要なのです。私は大学時代に彫刻の師匠に恵まれたことで、彫刻を続けるという姿勢が身につきました。私の場合、卒業制作は人体塑造を石膏にして展示していましたが、それを発展させることはなく、ヨーロッパで表現内容の出直しを図りました。それも大学の4年間があればこそ、彫刻に対する思索を深めることが出来たと思っています。そんなことを思い出しながら、今日は卒業制作展を見ていました。