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「土方久功正伝」を読み始める
既に終わってしまった展覧会の後追いのような記事になりますが、どうしても気になる芸術家がいるため、今日から「土方久功正伝」(清水久夫著 東宣出版)を読むことにしました。展覧会は「土方久功と柚木沙弥郎」展で、先日まで世田谷美術館で開催しておりました。本書は世田谷美術館のギャラリーショップで買い求めたものです。本書の冒頭に「土方久功を一言で言いあらわすのは難しい。彫刻家であり、詩人であるとともに、民族誌家であった。久功は、日本の南洋統治が始まって間もない昭和4年(1929)にミクロネシアのパラオへ渡って以来、現地の人々と個人レベルで交流を重ねた人物であった。」とありました。あたかもゴーギャンのような生き方だったため、展覧会をする度に「日本のゴーギャン」と呼ばれることに作家本人は嫌だと思っていたようです。私が興味関心を持ったのは彼が日本の美術界と縁がなかったことと、先日世田谷美術館でまとまった木彫作品を見て、そのプリミティブな力に魅せられたからです。以前、南洋諸国で創作活動をしていたグループによる展覧会を見た記憶があり、その時「土方久功」という名前を知り、また別の機会に横浜の古本屋で「土方久功詩集 青蜥蜴の夢」(草原社)を購入して、詩集は我が家の書棚に収まっています。詩集は昭和57年の刊行なので、作家没後5年で出版されたことになります。NOTE(ブログ)のアーカイブによると2013年6月28日から7月5日まで、私はこの詩集を読んでいて、感想を寄せていました。日本の美術界では稀有な存在であった「土方久功」とは、改めてどんな考え方を持った人だったのか、伝記をじっくり読んでみようと思っています。