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「ジョヴァン・バッティスタ・ポッツォとその他の画家たち 」について
「カラヴァッジョ」(宮下規久朗著 名古屋大学出版会)の第2章「1600年前後のローマ画壇とカラヴァッジョ」の中の「5 ジョヴァン・バッティスタ・ポッツォとその他の画家たち 」の気になった箇所を取り上げます。この単元で第2章は終わりです。この単元ではカラヴァッジョと同郷の夭折画家について書かれていました。「28歳で夭折したため作品数も少なく、その美術史的位置づけや研究もほとんどされていないが、カラヴァッジョと同じロンバルディア(ヴァルソルダ)出身で優れた才能をもっていたジョヴァン・バッティスタ・ポッツォ(1563-1591)との関係についてふれたい。~略~もしこの画家が長生きしていたら、カラヴァッジョやカラッチの革新性はもっとちがったものに見えていたにちがいない。~略~作品数は膨大だが画家の個性のきわめて乏しい1590年から1600年の聖堂装飾のうちで、ポッツォのこの壁画は小規模ながら強い個性をもって異彩を放っている。~略~上京直後に多くの聖堂を見て回ったにちがいないカラヴァッジョが、大規模な装飾が施されたばかりのサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂や改築なったばかりで様々な絵画で埋め尽くされたサンタ・スザンナ聖堂を訪れ、ポッツォの才能に目をとめたことはきわめて自然である。そして彼は、自分の上京前年に志半ばで逝った郷里の先達の革新的な事業を継いだといえなくもないのである。」定説ではカラヴァッジョはルネサンスの巨匠から影響を受けたとされていますが、同時代の画家たちとの交流や刺激し合う関係もあり、様々な人間模様が展開されていたようです。「カラヴァッジョの作品には、明らかに同時代の画家たちの影響が見られるのだが、ただしそれは彼がラファエロやミケランジェロを引用するときと同じく、図像や構成の上に限定されており、それらは自然主義的で明暗対比の強い彼独自の様式によって処理されているため、一見その影響が判別しがたいのである。」今回はここまでにします。