Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

映画「ビヨンド・ユートピア 脱北」雑感
今日は工房の作業を休んで、教え子と横浜みなとみらいにあるミニシアターへ「ビヨンド・ユートピア 脱北」を観に行ってきました。大手新聞社の記事が取り上げているだけのことがあって、ドキュメンタリーとしたら凄く肉薄した映像に心が奪われました。祖国を捨てるというのは私には考えが及ばないことで、しかも身を隠して脱することの困難さが具体的に描かれていて、これが日本の隣国で今も起こっていることに驚きを隠せません。脱北を決行している家族が日本人に似た外見で、家族の繋がりや性格にも共感を覚えたのは私だけではないはずです。独裁政治と言う大きな捉えよりも、末端の人たちの行動に説得力があるのは言うまでもありません。図録より映画の主張するところを拾っていきます。「脱北者にとって祖国を離れることは、悪徳ブローカーによる搾取の可能性だけでなく、捕えられれば厳しい刑罰や場合によっては処刑されるなど、大きな危険をはらみ、残された家族も報復にさらされる可能性がある。ロ一家は親戚が脱北したために、彼らも警察から嫌疑をかけられ、いつ強制収容所に送られてもおかしくない危機的な状況に陥っていた。幼い子供2人と80代の老婆を含む一家5人での脱北は、実に50人以上のブローカーが協力し、移動距離1万2000キロメートルに及ぶ決死の脱出ミッションだ。中国の山間部をさまよい、ベトナムのジャングルを抜け、闇にまぎれてラオスの川を渡る。本作では、最終目的地である韓国への旅が確約されるタイに至るまでの危険な道程が克明に記録される。スマートフォンや折りたたみ式携帯電話で撮影された映像は生々しく、いつどんな形で生死の分かれ目が訪れてもおかしくない、これ以上ないほどのスリルと危険に満ちている。また、韓国へ亡命した母が北朝鮮に残る息子を呼び寄せようと奮戦するが次第に悲劇的な状況へ追い込まれていく様子や、自らの身の危険を犯してまで人道的活動を続けるキム牧師が抱えた秘密など、フィクション映像でも描くことのできない、想像を絶する人間ドラマが展開していく。」これは現在も行われていることで、対岸の火事では済まされない困難な課題であることを自覚しなければならないと、私は強く感じました。