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新聞記事より「洗練が重ねられる」
17日付の朝日新聞「折々のことば」より、記事内容を取り上げます。「野生と自由が異なるように、生まれつきの素質と個性は違うのだ。白洲正子」この言葉に著者の鷲田精一氏がコメントを寄せています。「『型』を守る伝統芸能は、みなに同じことをさせるから無個性なのではなく、決まった型があるから個人の相違も表れると、作家は言う。個性は育つもの。何百回、何千回と演じているうち、つまらぬものは削ぎ落とされ、余計な型は棄てられて、洗練が重ねられると。職人仕事も、いや民主主義だって、『多くの人の手を経て』育ってゆくもの。『名人は危うきに遊ぶ』から。」随筆家白洲正子の生活を彩るエッセイを、私は何度か読んだことがあり、優れた審美眼を備えた人だなぁと思っています。白洲次郎・正子夫妻は、古い農家を改築して、古美術を生活に活かしていたようで、この人にとっての豊かな暮らしとは贅を尽くしたものではなく、彼らの美意識に裏打ちされたものと私には思えました。そうした思考を持つ人ならではの発想が、「つまらぬものは削ぎ落とされ、余計な型は棄てられて、洗練が重ねられると。」という箇所に現われています。これは私がやっている創作活動にも通じるものがあり、美意識に対する革新が、取捨選択によって価値が与えられ、真に個性的なるものや美しいものが後世に残っていくものだろうと考えています。洗練を重ねることによって、私たちは心の豊かさを手に入れて、日常を楽しむことに繋がっていくと私は思っています。