Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

六本木の「酒吞童子ビギンズ」展
昨日、東京六本木にあるサントリー美術館で開催中の「酒吞童子ビギンズ」展を見てきました。サントリー美術館が所蔵する重要文化財で、1522年に北条氏綱の依頼によって狩野元信が描いた「酒伝(呑)童子絵巻」は、最近解体修理が終わったらしく、かなり鮮明な絵巻になっていました。物語としては、鬼に誘拐された娘たちを救うため、源頼光とその家来による鬼退治を描いたもので、今まで物語に接することのなかった私にも分かり易さが伝わってきました。さらに酒吞童子の出生に纏わる絵巻が発見されて、それは神話の世界にも通じるものでした。すなわち、スサノウノミコトによって退治されたヤマタノオロチの亡魂が、伊吹山に飛んで伊吹明神となり、その息子として生まれたのが酒吞童子だと言うのです。「酒吞童子絵巻」にはサントリー本の他に、独ライプツィヒ・グラッシー民族博物館が所蔵する住吉廣行の描いたものがあって、サントリー本はこのライプツィヒ本とともに展示されていて、それらを比較して見ることができたのも幸いでした。サントリー本もライプツィヒ本も共通点があって、いずれも婚礼調度として絵巻は使われていたようで、両方とも姫君の所持品であったことが、私は何とも不思議な感じを持ちました。若い娘たちが誘拐され、血なまぐさい顛末がある絵巻が、どうして嫁入り道具になったのか、私には解せないところでしたが、図録の解説には、徳川家との縁を繋ぐ由緒の品として、絵巻が嫁入り道具に使われたことが記されていました。つまり、物語の内容を楽しむためではなく、「酒吞童子絵巻」という存在そのものが重要であったと考えられると解説は結んでいました。それはともかく、私はやはり「酒吞童子絵巻」の物語性に面白みを感じ、鬼が群衆になった個性的な表現に、何とも現代風な奇想を認め、そのキャラクターに親しみを持ちました。私は幼い頃から怪奇趣味があるので、その心が満たされた展覧会でした。