Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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新宿の「藤田嗣治展」
先日、東京新宿にあるSOMPO美術館で開催されている「藤田嗣治展」に行ってきました。昔から藤田嗣治ワールドを私は度々味わっていて、機会があれば仏ランスにあるシャペル・ド・ノートル=ダム・ド・ラ・ぺ(平和の聖母礼拝堂)に行って、画家本人による建築設計、ステンドグラス、装飾、フレスコ画を見てきたいとさえ思っています。本展は副題に「7つの情熱」とあり、それは自己表現・風景・前衛・東方と西方・女性・こども・天国と天使の7つの主題に分けて、藤田ワールドを読み解くものです。作品は比較的小品が多かった印象でしたが、質の高いものもあって、私の眼は時折釘付けになりました。画家本人が暮らした当時のパリの芸術界の潮流にも敏感に反応している作品もありましたが、私はやはり淡い乳白色の上に緻密な線描で表現された人物像が大変気に入っていて、その女性像を見た時に、あぁこれがフジタだと納得した次第です。図録の中にこんな文章がありました。「藤田の生涯のいかなる時も、繰り返し表現と変化を重ねるほどにその人生につきまとい、彼を最も魅了し、主題以上に最低限求められるものとして彼が一番大切にしていたのは、線の美しさを明確にすることであった。この流麗で、しなやかで、表現力に富む美しい線は、彼を成功に導いた。その美はいたるところに、油彩画はもちろん小さなデッサンにも存在する。これらの線は彼の情熱の美のベクトルであり、藤田の大望とはすなわち、他の芸術家たちよりも巧みに線を描くことであった。」(シルヴィー・ビュイッソン著)その中で私は1927年に描かれた「友達、ユキとマド」や「枕の上の裸婦」に見られる白っぽい画面に注目しました。白は混じりけのない白ではなく、桃色や緑色、青色、黄土色がほんのわずか混ぜ合わされ、微妙な陰影となって画面を覆っています。線描は極細の筆が使われたのでしょうか。日本画のようでもあり、乾いた雰囲気もあり、その独創的な味わいはまさに藤田ワールドそのものだなぁと感じました。