Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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立川の「柚木沙弥郎」展
今日は工房での作業を休んで、東京立川で開催されている「柚木沙弥郎life・LIFE」展に行ってきました。美術館は立川駅周辺に2020年6月にオープンした「PLAY!MUSEUM」で、子どもの遊び場と一緒になったような新しい感覚の複合施設でした。そうした雰囲気に染色家柚木沙弥郎の作品群はよく合っていて、楽しさに溢れていました。私は新聞記事で本展を知り、家内を誘って自家用車で立川に向いました。染色家柚木沙弥郎の作品は2018年に私は日本民藝館で見て、その自由闊達なデザインに魅了されました。作家は現在99歳で、もうすぐ100歳を迎えます。私が羨ましく感じているのはその年齢で、創作活動に携わってこられた長い経歴にあります。しかも年齢を感じさせない溌溂として大胆な染色の世界は、どうして培われたのか、図録のインタビュー記事で知ることが出来ました。聞き手はキュレイターの林綾野氏です。「ぼくの作品は、アートでもなければ、工芸品というわけでもなくて、その間にあるようなもの。元々は生活の中にあるものなんです。暮らし(life)と繋がっているものだと思いますよ。~略~自分が何かしたかったというものがあれば、それを果たすべく努力をするわけだから、そういう人生(LIFE)であって欲しいと思いますね。」作家にとって美とは何か、そんな質問もありました。「ぼくは模様が『美』だと思いますね。自然はそのままだと荒々しいけど、人間が手を加えて整えるととても美しくもなる。人がものの本質、そのいきいきとした部分を掴んで、表すのが模様だと思います。そういう意味ではとても抽象的で、なんというかとても本質的なものです。でも、それを生み出すのは簡単なことではありません。毎日、毎日考えて、何日かして朝7時くらい、目が覚める頃に大抵ふっと浮かんできたりしますね。」今という時代についても作家はこんな主張をしています。「戦後70年以上の歳月が経って、毎日の暮らしには自由がある。この自由を手放してはいけないという覚悟を持って欲しいと思います。ワクワクしたり、自分のやってみたいことをやるには、社会全体が自由であることが基本です。戦争が起こればそれはなくなります。自由の大切さを自分たち一人一人が認識して、決して手放さない、そういうことを自覚して欲しいなと思います。」