Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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上野の「大覚寺展」
東京上野の東京国立博物館で開催されている「大覚寺展」に昨日行ってきました。京都の嵯峨野にある大覚寺は空海を宗祖とする真言宗大覚寺派の大本山ですが、私は教職に就いていた時は、修学旅行の引率でこのあたりを生徒たちと散策していたにも関わらず、参拝した記憶がありません。本展を見て、当寺には天皇家と法流の寺宝が数々あることに驚きました。テレビ番組で紹介された障壁画がどうしても見たくなって、昨日家内を誘って本展に行って来たのでした。障壁画は安土桃山時代から江戸時代に活躍した狩野山楽を初めとする絵師たちが描いた123面もの作品が展示され、気分は高揚しました。当初、私は狩野山楽だけの作品と思っていたのですが、渡辺始興や大岡春卜の作品も含まれているそうで、確かに多少の画風の違いがあるにせよ、その障壁画の質量に圧倒されました。図録によると「宸殿と正寝殿の障壁画は複雑な改変と移動を伴い、現段階で制作年や本来の場所を特定することは難しい。しかし今回実施した調査により、漆工、金工、建築、有職故実といった視点から女御御所以外の御殿や、二条城、名古屋城などの関係が再確認できたことは重要である。障壁画については近年、二条城二の丸御殿黒書院の慶長期と寛永期と思しき二つの『牡丹図』が紹介されており、今後はこれからと比較検討で得られる知見もあるだろう。いずれにせよ、大覚寺障壁画群が豊臣から徳川に大きく世の中が変わる変換期におけるきわめて重要な作品群であることは間違いない。」(金井裕子著)障壁画については学術的な調査が今後進むでしょうが、私を含めた本展を見ていた鑑賞者にとっては、この数多い障壁画に描かれたテーマや描写力をいろいろな視点から堪能して、心から楽しんでいたように思います。これだけ多くの依頼が公的機関からやってきたら、私ならどうするだろうと想像していました。幸福の絶頂期になってしまうのは間違いありません。狩野山楽は生涯を賭けて、この作品を完遂した達成感があっただろうと思い、羨ましく感じました。障壁画の中でも「牡丹図」は、その牡丹の表情からしてもバリエーションに富んでいて、見ていて飽きず、会場内に設置された椅子に腰かけて、じっくり味わいました。これを見られただけでも展覧会場に来た甲斐があったと思います。