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ピエロ・ディ・コジモ
ピエロ・ディ・コジモ。実は最近知りえた画家です。学生時代ばかりではなく、滞欧時代を通してもピエロ・ディ・コジモについて意識したことはありませんでした。ウィーンで暮らしていた頃に、フィレンツェを訪れていて、ピエロ・ディ・コジモの絵画にどこかで出会っているはずですが、数多いイタリア絵画に圧倒され、さらに旅の疲れも加わって、見逃してしまっているのです。当時在籍していたウィーン国立美術アカデミーの併設美術館で出会ったボッスにも当時の自分は無知でしたが、やはり生活の場で出会ったボッスと、旅先で出会ったはずのピエロ・ディ・コジモとの間には、自分の中に占める存在が違ってきていました。ピエロ・ディ・コジモは、A・ブルトン著「魔術的芸術」の中で大きく紙面を割いていて、さらに今読んでいる瀧口修造著「幻想絵画論」でもルネサンス期の特異な画家として取り上げられています。現代のシュルレアリスムにも通じる摩訶不思議な怪物が登場するピエロ・ディ・コジモの本物の絵画を、きちんと見てみたいと願っています。フィレンツェで生まれ、彼の地で活動していたにも関わらず、権力者であったメディチ家とは疎遠であったことが、ピエロ・ディ・コジモをいち早く発見出来なかった所以でしょう。自分の滞欧時代にルネサンスの巨匠たちの作品はじっくりと鑑賞していて、いまだに印象強く思い出されます。次にイタリアに行く機会があるとすれば、ピエロ・ディ・コジモをじっくり見たいと思っています。                           Yutaka Aihara.com