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瀧口流「I・ノグチ」論
「ノグチは西欧の環境で生活しながらも、たえず東洋に眼を向けている。数回にわたる東洋遍歴のみならず、彼の血液が力づよく誘うのであろう。が私たちの眼からは、それほど彼のある作品は東洋的と感じられないかも知れない。事実ノグチは東洋趣味といった気取りを嫌っているのであって、彼のような生い立ちの作家が、一種のジャポニズムによって商業主義の波に乗ることは易々たることであったろうが、彼はそれをつとめて避けてきたようである。芸術は国際語であるという前提のもとに彼は立っている。しかもその彼が東洋の芸術から彫刻の本質的なものを積極的に摂取しようとしてきたのである。これはやはり芸術家ノグチの自由な知性とめぐまれた特権でなければならない。こうしてすくなくとも西欧人には、東洋人の血を享けたノグチの直感的把握からにじみでる「詩」に東洋が感じられるのではなかろうか。〜以下略〜」長い引用になりましたが、「瀧口修造全集2」に収められているイサム・ノグチに関する論考の一部です。ノグチはこのブログの3年間の中でも一番多く扱った作家ではないかと思います。自分の「テーブル彫刻」や「場の造形」の原型はノグチにあり、学生時代から意識してきた作家なのです。自分はノグチに関する書籍は海外のものを含めてほとんど持っていると自負してもいいと思います。瀧口流のノグチ論も、正直自分にとっては新たな切り口ではなかったと感じました。