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竹橋の「ジャクソン・ポロック展」
先日、東京竹橋にある国立近代美術館に「ジャクソン・ポロック展」を見に行ってきました。ジャクソン・ポロックと言えば、アメリカ現代美術を代表する画家で、絵の具を撒き散らすアクションペインティングはあまりにも有名です。初めはアクションペインティングばかり展示されている会場を想像して、これを見たところで何になろうと思っていました。ところがポロックの修行時代から見ていくと、ピカソやミロそれにメキシコ絵画の影響があって、いわゆる近代絵画を学んで現在のオートマチィズムに至った個人史がよくわかりました。中でもピカソの影響が強かったらしく、ピカソを彷彿とさせる作品が残されています。やがてポーリング(流し込み)やドリッピング(滴り)が画面を覆い、完全に対象の無い作品が生まれていくのです。当時の批評は散々だったようですが、グッゲンハイムの目に留まったことで一躍アメリカ現代絵画の寵児になったことがわかりました。改めてポロックの絵画を見て感じたことは、ポーリング(流し込み)やドリッピング(滴り)に秩序があり、全体のバランスをとりながら計算ずくで制作をしているのではないかと思ったことです。自分も自作で砂マチエールの上にドリッピングを行います。これは全体のバランスを見ながら絵の具を滴らせる場所を考えています。要するに描く行為ではないデッサンが存在するのです。ジャクソン・ポロックの絵画は、紛れもなく絵画芸術であることを認識させてくれた展覧会でした。