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「言語都市・ベルリン」を読み始める
「言語都市・ベルリン」(和田博文・真銅正宏・西村将洋・宮内淳子・和田佳子共著 藤原書店)を読み始めました。副題に1861ー1945とあるので、本書は第二次世界大戦を終えるまでのドイツ帝国の首都ベルリンの変遷と、そこに関わりを持った日本人たちを描いています。自分は大学を卒業する頃、ドイツに行きたいと漠然と思っていて、西ベルリンを考えていました。当時ドイツは東西に分かれていて、西ベルリンは東ドイツの中にある陸の孤島と言われていました。知り合いの海外駐在員に西ベルリンはやめた方がいいと言われ、それならば大戦を経ても古い伝統に押し潰されそうなオーストリアの首都ウィーンを選んだのでした。その頃、自分が目指していた現代美術とはまるで逆な方向へ進む結果になりましたが、今となってはそれで良かったと思っています。戦前のドイツであれば、自分はきっとベルリンに行っていたと思うのです。美術や演劇史を通して戦前のベルリンの果たした功績を書籍によって窺い知ることがあったからです。本書はまとまったカタチで戦前のベルリンの魅力を伝える一冊だと思っています。若かりし頃の自分が憧れた戦前のベルリン。暫し自分がまだ生を受けていない古き時代をイメージしながら、本書を楽しみたいと思っています。