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映画「パーソナルソング」
先日、家内と橫浜にあるミニシアターに行きました。家内が友人から評判を聞いてきて、どうしてもこの映画を見てみたいというので「パーソナルソング」を鑑賞しました。これは認知症やアルツハイマー病で施設に収容されている高齢者に、昔好きだった音楽を聴かせることで、若かりし頃の記憶を取り戻させ、生きる希望を与えるドキュメンタリーです。「1000ドルの薬より、1曲の音楽を!」というフレーズが示す通り、ソーシャル・ワーカーのダン・コーエンによって、自分の身内や名前すら忘れてしまった94歳の黒人男性にiPodで音楽を聴かせることで、劇的に変わる反応を映像に収めたシーンがあります。次々に試される患者と音楽の効果に、映画を見ている私たちはどんどん引き込まれていきました。「抗精神病薬は灯りを消すことはできるが、灯すことはできない。音楽は患者の心に生命の灯りを灯すことができる。」という医師の言葉が、この映画全体の意義を裏付けています。マイケル・ロサト=ベネット監督は、常に患者やコーエンに寄り添って、決して押し付けがましくならないシンプルな映像を提供しています。そこに私たち観客が共感を覚える要素があると感じました。家内は介護施設に和楽器の演奏によく出かけます。選曲のヒントをこの映画から得たようです。ただし、日本は集団音楽療法がまだ一般的で、個人音楽療法への道をこの映画が開いてくれているとパンフレットの解説にありました。自分にとってのパーソナルソングは何だろうと映画館を後にして考えてしまいました。