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上野の「名作誕生」展
先日、東京上野にある東京国立博物館平成館で開催中の「名作誕生」展に行ってきました。「名作誕生」展には「つながる日本美術」という副題がついていました。わが国で比類なき世界を打ち立てた巨匠たちの作品も、大陸から渡来した絵画や彫刻に源泉があり、また画家同志での近親性をも網羅すると「つながる日本美術」という意味合いが見えてきます。そうした美術全般を推奨し、記録保存に務めたのが明治22年(1889年)に創刊された「國華」でした。何と創刊130年を迎える世界最古、最長の美術雑誌で、その記念として本展が企画されたようです。「ここに國華を発行し、いささか美術に関する奨励、保存、監督、教育等について意見を吐露し、絵画、彫刻、建築、および諸般の美術工芸について、保持、開達(発展)の方針を指示し、国民とともに邦国(日本)の精華を発揮しようと欲するものである。」(小林忠著による抜粋)というのが國華の宣言文で、その意図を具体化するのが今回の「名作誕生」展というわけです。まず、私が注目した部屋は雪舟等楊と狩野元信、中国の呂紀と殷宏が並ぶ空間でした。これは別稿を起こそうと考えています。伊藤若冲と狩野探幽、中国の文正と陳伯冲が並ぶ空間も、別稿でないと詳細な感想は語れるものではないかなぁと思います。画法としての影響はあっても模倣の域を脱するため、自ら観察をして画筆を揮う絵師たち。そこからまた次世代が誕生して、さらに芸術性が深層化しつつ象徴性が進んで、わが国独自な作風が確立されていく過程が示されていて私は興味津々でした。また稿を改めて各芸術家について取り上げていきたいと思います。