Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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時間刻みの生活について
芸術家は自由な時間の中からインスピレーションを得て、それを具現化する仕事だという認識が、私は学生時代からありました。亡父は造園業、祖父も先代も大工の棟梁という職人家庭に育った自分は、自ら決めた時間で仕事をすることが当たり前な環境だったのですが、何故か私が選んだ職業は公務員でした。ウィークディは勤務時間が決められていて、内容も全体の奉仕者と謳われているため、自分自身の能力を最大限発揮する仕事内容は少ないと感じています。50代で管理職になりましたが、自分が経験したキャリアで仕事をしていることが多く、何か判断を迫られても、大きな間違いはないと思っています。判断が危うい時は、仲間に相談して無難な舵取りをしつつ、それでも職場の活性化のために創意工夫はしています。自分ための仕事は週末に限られていて、そこでは自由を謳歌していると言いたいところですが、創作活動においてもウィークディの仕事の時間管理の影響が大きく、時間刻みの生活になっているのは否めません。それでインスピレーションが得られるのかという疑問も湧きますが、それは時間の問題ではなく、心の問題であろうと私は思っています。確かに創作世界に集中すると時間の観念から解放され、心身ともよく分からない状態になってしまいますが、集中が醒めると再び現実世界に戻ってきます。それを時間刻みの生活の中で私はやっているのです。二足の草鞋生活を送っているうちに創作世界と現実世界を素早く行き来できるようになったことが、私にとって救いでした。これは訓練の賜物だろうと私は思っています。ウィークディの仕事には退職があり、そのうち時間刻みの生活を見直す機会が訪れるのではないかと思います。長い間、二足の草鞋生活を送ってきた私には、何の制約のない自由な時間がイメージ出来ませんが、その時が何度目かの人生の転機になるだろうことは分かっています。