Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 3月の制作&映画鑑賞
今日は朝から雨が降っていました。春は雨が降るたび木々が芽吹き、工房周辺の植木畑にも自然の彩を添えていきます。三寒四温とはよく言ったもので、昨日までの暖かさは長く続かず、今日は暖房がなくてはいられないほど寒い一日になりました。朝から工房で制作三昧でしたが、真冬の寒さと異なり、早春の寒さも結構身体に応えるものがあって、ストーブの傍を離れられなくなります。新作の陶彫部品は全体計画で言うと95%が終わっていて、残り3個が出来れば完成になります。今日はそのうち2個の成形を行いました。彫り込み加飾は次回ですが、順調にいけば来週で終わります。ただし何度も言っているように陶彫は焼成が済んで漸く終了となるので、しっかり出来上がるのは今月末になるでしょう。今日も午前9時から午後4時までの7時間を工房で過ごしました。昨日と違い7時間が短く感じたのは、昨日のような疲労が少なかったおかげかもしれません。夕方は家内を誘って、常連になっている横浜のミニシアターに出かけました。今月は美術館よりも映画館に多く行くようになるかなぁと思っています。今晩観た映画はドイツ、フランス、ポーランド合作の「小さな独裁者」で、全編ドイツ語による映画でした。若い脱走兵が逃亡途中で、ナチス将校の軍服を発見し、それを纏ったことで将校として誤解され、そのまま特殊部隊のリーダーとして成り上がっていく物語でした。巧妙な嘘を重ね、総統からの指令だと偽り続け、やがて脱走兵収容所で残虐な処刑を行いました。ここにはナチスの戦争映画に登場するユダヤ人が出てきません。同国人たちが殺しあう場面ばかりなのです。軍服がもつ威厳と揺れ動く心理状態の狭間で、本作は主人公の不可思議な輪郭をそのまま観客に委ねているように感じました。何が彼を尋常ならざるところに追い詰めていくのか、そのストレスを紛らわせる享楽も描いていて、これは戦争映画というより人間の心理描写を中心に据えた映画ではないかと思いました。仮面は時に本物より本物らしく振舞わせる装置となって、アイデンティティーを操る結果になるとも考えられます。詳しい感想は後日改めさせていただきます。