Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

葉山の「空間の中のフォルム」展
先日、神奈川県立近代美術館葉山館に出かけて、「空間の中のフォルム」展を見てきました。副題に「アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで」とあって、県立近代美術館が開館した70年の間に収集保存してきた立体作品を、9つのテーマに従って展示した総括的な展覧会でした。その9つのテーマというのが「持続」「間奏」「形態」「虚実」「写像」「饗宴」「木魂」「再生」「空間」で、多様なフォルムをひとつのまとまりとして見せていました。「持続」の中ではイサム・ノグチの「広島原爆慰霊碑のためのマケット」があり、修復された雛形を見ることができました。「間奏」では宮脇愛子の真鍮作品やシルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田の「聖カタリナ像」を見ることが出来ました。「形態」では画家と彫刻家の二面を持つ作家たちの作品、ジャコメッティや浜田知明の世界が印象に残りました。「虚実」では毛利武士郎と向井良吉、「写像」では撮影された空間画像の面白さ、「饗宴」は鉄鋼シンポジウムに出品された作品のうち、若林奮のハエの模型が面白いと思いました。「木魂」はナッシュや砂澤ビッキの木彫作品、「再生」では最上寿之の巨大な木彫作品、「空間」では部屋そのものを見せる桑山忠明の表現がユニークでした。テーマ外でも日本を代表する彫刻家の作品が登場していて、ほとんどの作品を私は一度は見ていました。日本の現代彫刻の多様な在り方と空間解釈の幅広さに改めて感動し、また先人の努力に敬意を表したいと思います。私が学生だった頃から、日本の美術界では立体作品が面白くなっていったように感じています。西洋からやってきた彫刻の概念を日本人としてのアイデンティティをもって解釈し、日本人独特の表現に高めていった成果が、今回の「空間の中のフォルム」展によく表れていると思います。もちろん海外の作家も所蔵作品に入っているため、本展に出品されていましたが、私が注目したのは何より日本人作家の奮闘した形跡でした。