Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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横須賀の「等温帯Ⅱ」展
横須賀にあるカスヤの森現代美術館は過去に幾度となく訪れた美術館です。現代美術の個性的な作品を多く扱っていて、とりわけ戦後最大の芸術家の一人であるヨーゼフ・ボイスのコレクションは必見に値すると私は思っています。ボイスの常設された部屋に入ると、思わず襟を正したくなるのです。その他に私が興味関心をもつ保田春彦、若林奮の小品彫刻のコレクションがあって、そのガラスケースを必ず見てきます。美術館の規模もちょうどよく、じっくり見られる環境があります。私は個人的には美術館の扉の取っ手が好きで、抽象形の錆鉄色した彫刻が取っ手に使われているのではないかという印象があります。美術館は背景に森を有し、そこにも野外彫刻や石像が置かれていますが、炎暑の中で散策するのは厳しいと判断して、今回は室内のみの鑑賞にしました。現在開催している「等温帯Ⅱ」展とは何か、これは等温線から派生させた造語で、等しい温度を示す地帯という意味だそうです。「等温帯Ⅱ」展は4人の現代アートを牽引した芸術家によるグループ展ですが、その4人とも同じ時代に生きて、等しく注がれた芸術家の熱量を感じ取ることができたと思っています。4人とは原口典之、彦坂尚嘉、宮脇愛子、若江漢字で、現代美術界では評価が定まっている人たちです。洒落た白壁の室内で見る現代美術は、周囲の空間を味わうのに絶好の場所だと感じました。