Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

10月RECORDは「存在を問う」
一日1点ずつ小さな平面作品を作っているRECORD。今月のテーマを「存在を問う」にしました。存在という言葉を意識し始めたのは、彫刻に起因しています。自分が作っているモノが立体物であり、それが目の前に存在していることを改めて考え直した結果です。世の中にはあらゆるものが存在していて、私は存在物に取り囲まれて生活をしています。手で触れることが可能なあらゆる物質は、それぞれ役割があって、私は当然のように日々それらを使用しています。使用する際に役割のないモノ、それが私の作る彫刻ですが、精神的に訴える何かが秘められていて、そこに存在しているだけで十分に力を発揮していると私は信じたいのです。それに意味があるのかどうかは見る人の勝手ですが、必要のないモノとして扱われることも私は承知しています。それでも存在している彫刻。そもそも存在とは何か、存在に意味が必要なのかどうか、存在の意味を問うために私は哲学書を紐解いたこともありました。ショーペンハウアーの「意志と表象としての世界」、ハイデガーの「存在と時間」、フッサールの現象学に関わる書籍は、嘗てこのNOTE(ブログ)にも取り上げた生命と存在に関わる論考でした。自分なりに存在そのものの問いかけを課したのでしたが、結果として自分なりの存在の意味を簡単に論理づけることは出来ないことは理解できました。今月のテーマを「存在を問う」とするのは些か荷が重いかなぁと考えつつ、視覚を通じて存在を表現することを、たとえ覚束ない思索であろうともやってみようと思ったのでした。存在に関しては私の主流となっている彫刻表現にも通じるものがあり、私は造形美術の門を叩いてから、ずっと存在について考えてきたと言っても過言ではありません。今月もRECORDを頑張っていこうと思っています。