Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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根津美術館に琳派を見に行く
昨日、私の車に故障警告灯が点灯し、原因がわからなかったのでディーラーに持ち込みました。車は一日ディーラー預かりとなり、暫くして警告灯の原因が判明しました。今日は車が使えない一日になったのを言い訳に、工房や近隣のスポーツ施設には行かず、家内と東京の美術館に行くことにしました。向かった先は表参道の根津美術館でした。以前テレビで「夏秋渓流図屏風」を紹介していたので、琳派の画家鈴木其一による大作を見てみたいと思っていました。尾形光琳や酒井抱一に代表される琳派が私は大好きで、本展でも平塗りによる渓流表現に金の線描を用いた「夏秋渓流図屏風」の装飾性に惹かれました。これの詳しい感想は後日改めますが、「夏秋渓流図屏風」の横に円山応挙の「保津川図屏風」があったことが嬉しくて、2点の大作を交互に見て、絶妙な構成力や表現力を堪能しました。円山応挙の「保津川図屏風」は別の企画展で私は何度か見ていて、奔放な水流とそそり立つ岩肌とのコントラストは強烈な印象を私に与えてくれました。完璧な写実でないにしても応挙の筆跡に、若い頃の私は大いなる刺激をもらいました。その頃は具象とは何かを私は考え始めていたので、日本画の中で応挙の写生を基にした一連の作品を、私なりに一番推していたのでした。その時代に鈴木其一の「夏秋渓流図屏風」を見たら、私はどう思ったでしょうか。其一の偏執的な表現を否定したでしょうか。20代から60代に至って私の美的価値観が明らかに広がって、象徴性に富む作品が私を捉えて離さない時期の変遷があり、そこから琳派が漸く好きになり、さらに琳派さえ逸脱した作品をも認めるようになったのでした。今日はウィークディにも関わらず、多くの鑑賞者が美術館を訪れていました。やはり高齢者が多いとは思いましたが、根津美術館の和風の美しさを愛でる方々が結構いました。根津美術館は門から入口までの竹林に見立てたアプローチが素敵です。仏像のコレクションも秀逸です。表参道の美術館までの道も瀟洒な店が多くて、散歩が楽しめる場所かなぁと思っています。