Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 加飾のバリエーション
日曜日になると後輩の木彫家が工房に現れます。頻繁に来ている美大生もやってきます。私を含めて3人でそれぞれ自分の課題に向き合い、一生懸命制作に励むのが、定番の日曜日の過ごし方になっています。今日は朝から夕方まで木彫、染織下書き、陶彫と3人3様の作業をしていました。工房内に張り詰めた空気が流れることもあり、私はそんな瞬間が好きなのです。私の陶彫制作は常に同じサイズの立方体を作っていて、彫刻的な変化はありません。その分、工芸的な作業になりますが、彫り込み加飾の差異によって、ひとつずつの陶彫作品の個性を打ち出そうとしています。これを今年は100点以上も作るので、彫り込み加飾のバリエーションを考え抜かねばならず、新作の重要度はそこに尽きると言ってもいいと思っています。加飾は5㎜程度の深さを彫り込み、文様を浮かび上がらせるもので、抽象レリーフとして扱っています。一日1点ずつ作っている平面RECORDと同じ5日間で展開する様式を採用していて、言わば立体RECORDと称してもいいくらいの連続性を有しています。例えば幾何形態の三角形は、隣り合う三角形に微妙な角度をつけたり、一辺の長さを変えたりしてバリエーションを作っています。表面を三角形で覆う立方体では、同じ三角形の穴をあけています。陶土の厚みを均一にするため、立方体内部は空洞になっていて、それを利用して大小さまざまな穴をあけ、形態に軽みを持たせているのです。焼成の際に空気の通りをよくする穴は必要なもので、それをデザインに利用しているのです。そうした彫り込み加飾は遊びの要素がたっぷり盛り込まれていて、陶彫制作を楽しくさせていると私は感じています。思索を練り、全体の統一を考えながら、遊びで楽しむ、それが立体RECORDの醍醐味ではないかと思っています。