Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 完成形のない空間造形
日曜日になって、工房にはいつも来ている美大生のほかに後輩の木彫家がやってきました。それぞれが一生懸命制作をしていて、日曜日の工房は活気づいていました。私はこうした雰囲気を歓迎しています。その彼らを前にして昼食時間に、私は自作に対する現在の考えを述べていました。今まで私は集合彫刻と称して陶彫部品を制作し、その部品を番号順に組み立てて大きな作品としてまとめていました。計画では大きな作品のイメージがあって、それに近づけるために部分を分解して、窯に入る大きさの陶彫部品を作っていたのでした。作品によっては40点程度の部品を組み合わせていました。予め穴を開けておいて、ボルトナットで止めたこともありました。今まで20年もそうした作品を作ってきましたが、ここにきて最終形態を未定にした作品を作り始めています。つまり完成形のない空間造形をやろうとしているのです。同じサイズの立方体を100点以上作って、それをギャラリーに持ち込み、その場で積み上げや配置を考えてみようと思っているのです。これは勿論集合彫刻ではあるのですが、展示スペースによって空間演出を変化させます。これによって空間の自由度が増すように思えます。組み立てることも拡散させることも、スタッフとの相談で決めていきます。私は以前から彫刻を単体で見せることは止めていて、場というか、環境というべきか、そうした広い世界を対象にした演出を考えてきました。今年の個展はそこに自由さを加えて展示する予定でいるのです。