Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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上野の「古代メキシコ」展
今日は家内と東京上野にある東京国立博物館で開催中の「古代メキシコ」展に行ってきました。副題に「マヤ・アステカ・テオティワカン」とあり、古代王権の三大遺産の数々が来日しているとあって、その規模も含めて今回は絶対に見てこようと思っていたのでした。テオティワカン文明の巨大な石彫群の中にはポスターにもなっている「死のディスク石彫」もあり、見応えは十分ありました。マヤ文明では「赤の女王」のマスクを初めとする副葬品の数々があり、周囲には人が大勢集まっていました。アステカ文明では土製の「鷲の戦士像」もあって、その造形の面白さに時間を忘れて佇みました。13.000年以上前に新大陸に足を踏み入れた狩猟採集民は、それぞれ独特な社会を構築していて、ユカタン半島内での文明の盛衰もあったようです。16世紀になってスペイン軍の征服が始まり、植民地化や民族が混じり合う格差社会になり、当時の文明は滅びていったのでした。現在も発掘調査が行われ、本展に出品されてる高度な工芸品の数々が発見されてきたのです。私が全体を見渡して興味関心が湧いたのは、どの遺産にも存在する人面の造形のユニークさと、マヤ文字の記号的な面白さです。人面で言えばマヤ文明の土偶の多様性と具象的な顔の表情に惹かれました。この巧みな塑造を見ると、私には彫刻的な興趣が沸き起こってきて、つい楽しくなってしまったのでした。風俗史を研究する学者によれば、その服装やら体格によって、当時の身分や置かれた立場を考察する資料になるのでしょう。そのくらい具象性が際立っている造形だと私は感じました。またマヤ文字は解読に励む学者がいる一方で、私のようなこれを美術作品と受け取る者にとっては、現代のキャラクターデザインのようで、視覚的に見ても美しさを湛えた魅力があるのです。勿論何が書かれているのか知りたい興味はありますが、その前段階として美術として鑑賞するのも有りだなぁと思いました。もう一つ、古代メキシコには生贄儀礼がありました。これについてはその関係するものも展示されていましたが、紙面の都合でここでは扱いません。図録を読み込んで、別稿を起こそうと思います。