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砧公園の「土方久功と柚木沙弥郎」展
昨日、東京世田谷にある世田谷美術館で開催されている「土方久功と柚木沙弥郎」展に行ってきました。世田谷美術館は砧公園にあり、野外には保田春彦先生の鉄の彫刻が置いてあります。レストランに向かう通路には若林奮先生の作品が並列されていて、私にとっては馴染みのある美術館なのです。「土方久功と柚木沙弥郎」展では、2人の芸術家とも私には作品が既知であるため意外性はなかったものの、作品が内蔵する始源性に改めて魅了されました。まず彫刻家土方久功をいつ知ったのか、NOTE(ブログ)のアーカイブを調べました。2008年5月6日の記事に「『南洋群島』という聞き慣れない名称は、赤道付近の島々のことで、第一次大戦後にドイツ領だった群島を日本が統治することになり、当時の美術家も彼の地に出かけ、作品を残したことが本展の展示内容になっています。ちょうどゴーギャンが行ったタヒチを連想させ、いずれの邦人美術家も島の風物を描いていました。土方久功、杉浦佐助、儀間比呂志の師弟3人が展示の中心となっていましたが、師弟といっても作風の影響は無く、3人3様の表現方法があって、当時の日本美術界の窮屈さからは程遠い自由な雰囲気を感じました。」とありました。これは町田市立国際版画美術館での展覧会だったようで、その後2013年7月5日付で私は「『土方久功詩集 青蜥蜴の夢』(土方久功著 草原社)を読み終えました。本書の中では、とりわけ南洋群島にいた時代に書かれた詩や随筆に興味が湧きました。南洋群島の人々の触れ合いや繋がり、村の長老や娘たちの生き生きとした生活ぶりや異国情緒を感じさせる風景描写が、現実感に溢れ、時に郷愁をもって綴られていました。」とありました。私は土方久功の著作を読んでいたのでした。それでは染色家柚木沙弥郎をいつ知ったのか、これも調べてみると2018年6月19日の記事に「期待通りの生き生きしたデザインの布が壁に掛けられていたり、机上のガラスケースに収まっていて、生活の中で潤いを齎す造形が美しいと感じました。『模様は直観で捕らえられた本質的なもの』と言う柳宗悦の言葉通りの創作活動を展開した柚木沙弥郎は、無駄を取り去った模様のデザインと、遊びの要素が入り込んだデザインの要素が共存しているように思えました。日本民藝館に行った日が休日だったため、同館は鑑賞者で混雑していました。」とありました。その後、女子美アート・ミュージアムやら八王子での個展にも出かけていき、目から鱗が落ちたと感じさせてくれた斬新な抽象にいつも刺激をいただいていました。今回の2人展は個性的でプリミティブが躍如された芸術家の真髄を見ることが出来ました。