Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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東京の展覧会&古本屋街散策
今日は工房での作業を止めて、東京竹橋にある東京国立近代美術館で開催中の「棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」に行ってきました。工房は陶彫の焼成があったために電気が使えず、展覧会に行く契機としては都合が良かったのでした。展覧会には教え子で文筆活動を続ける子を誘いました。版画家棟方志功は、私が学生の頃より、折に触れて作品を見てきた作家で、当時彫刻と併行して木版画を作っていた自分は、棟方ワールドに注目してきたのでした。本展は多くの代表作品が並び、壮観な印象を持ちましたが、若かった20代の頃の私は、棟方板画の彫りの粗さが気になり、またカタチの構成も捉え難い要素があって、よく展覧会を見に行っている割には、常に残念な気持ちになっていました。ところが私も60代になり、同じ棟方板画が以前とは異なる要素を纏っていることに気づきました。作品は技巧ではなく、訴える力量に立脚していて、作家の思いの深さを充分に伝えていたのでした。本展の詳しい感想は後日に回しますが、私の観る側の意識の違いも書いていこうと思います。今日は教え子を連れていたため、まだ彼女が行ったことがない神保町古本屋街まで足を延ばすことにしました。実は岩波ホールが閉鎖されて以来、私も久しぶりに訪れる古本屋街で、懐かしい美術専門書を扱う複数の店に立ち寄りました。ちょっとした冷やかしのつもりで立ち寄った店で、私の目は「藝術解剖學」(中村不折著 崇文堂出版)に留まり、文語体の文章なぞ読めるはずもないのに、つい購入してしまいました。出版当時の金額で五円と記されていましたが、いやはや読めもしない書籍を手に入れたい癖は治らないものだなぁと思いました。教え子も豆本等を購入しており、満足そうな顔をしていたので、今日はこれで良しと考えました。