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週末 集合住宅に設置した彫刻
私が「RAUM」という集合住宅を建ててから1年が過ぎようとしています。この場所は私の生まれ育った実家でした。祖父母や父母の思い出がいっぱい詰まった場所で私は生まれ、家業は半農半商で父は造園業、祖父は大工の棟梁でした。家は木造平屋建てで、玄関を抜けると土間があり、台所も土間にありました。薪で焚いていた五右衛門風呂も記憶の片隅にあります。土間には米の貯蔵庫もあり、季節になると庭では脱穀を行っていました。そんな実家でしたが、祖父母や父母が亡くなり、昔ながらの家は不便で、私自身はこれを護っていけないと判断して、8世帯の入る集合住宅を建てたのでした。家の大黒柱は工房に運び込み、私はこれを造形的に再生しようと考えています。集合住宅「RAUM」には階段下にちょっとしたスペースがあり、そこに彫刻を置いてみないかと建築担当に言われていました。今日は1年点検の日で、業者がやってきたので、この機会に作品を設置しようと決めました。作品は「発掘~坪庭」です。今年、東京銀座のギャラリーせいほうで発表した本作品は、集合住宅「RAUM」に置くことを予め設定して作った作品です。大きさも階段下スペースから割り出したもので、設置も手間のかからないものにしました。それでも後輩の彫刻家にお願いしてやってもらいました。本来なら照明を内蔵するように作ってあるのですが、今回はさりげない場所に設置したので、目立ち過ぎないように配慮しました。ネームプレートに題名と作者名を入れました。現代彫刻は都心の真ん中であれば、人々の認識もありますが、郊外の集合住宅では滅多にお目にかかれない代物です。そんなことも考えて、今回のような設置にしたのです。