Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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クリスマス雑感
世界中から「メリークリスマス」という挨拶が聞こえてきます。この日だけは平和で穏やかに過ごしたいという思いが伝わってくるのは私だけではないはずです。12月25日はキリストの降誕を記念する日とされていて、イエスの正式な誕生日ではないというのが定説です。この日はローマ歴の冬至に相当します。宗教は人々が関わる農耕牧畜と密接なものだと私は考えていて、キリストに纏わる物語も例外ではないはずです。キリスト教はユダヤ教から発祥していますが、選民意識の強いユダヤ人が唱えた教えに、誰もが信仰できる国際性を備えたものがキリスト教だということをどこかで聞いた覚えがあります。そんなこともあって、世界人口に占めるキリスト教徒は31%もいて、イスラム教、仏教と並ぶ三大宗教のうちで最も多い信徒を持ちます。イエスが誕生したベツレヘムにしろ、イエスが処刑されたエルサレムにしろ、当地にあるイスラエルは、現在ガザ地区にあるハマスを撲滅しようとして、戦時下にあり、毎日のようにそのニュースが飛び込んできます。瓦礫と化した街で平和を願う人々の映像は胸を打ちますが、イエスが負った受難が現代に降りてきたような光景に、私は心が痛みます。クリスマスとは、イエスの死を通して贖罪信仰が確立された宗教儀式を執り行う日でもあり、そういう時だからこそ平和で穏やかに過ごしたいという思いが全信者にはあるではないでしょうか。20代の頃、ウィーンで過ごしたクリスマスは、人が集まって騒ぐことはなく、それぞれの家庭で静かに過ごしていました。私にとってクリスマスとは何かを考え始めた時期に、そんな経験がありました。イルミネーションが美しく輝く環境も素晴らしいとは思いますが、クリスマスが宗教行事であるからには、その意味するところをほんの少し考えてみるのも必要かもしれません。