Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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都心に「民間仏」を観に行く
「展示されているのは、青森県、岩手県、秋田県に伝わる約130点。江戸時代、日本各地の寺院の本堂などには、江戸や上方でつくられた端正な仏像が鎮座するようになった一方、地方の村々のお堂などでは、こうした素朴な仏像がまつられたという。仏師ではなく、地元の大工らの手によるもので『民間仏』と呼ばれる。北東北には造形性に優れたものが多いという。~略~ほとんどが丸彫りの一木造で、元の木の曲がりをそのままにしたものや、おおざっぱに彫ったものなど、実に奔放。列島の周縁ゆえにこうした造形がありえたともされ、それでも村人たちは大切に拝んだのだろう。」これは先日の朝日新聞夕刊に掲載された記事で、微笑ましい仏像の画像に思わず目が留まり、この展覧会がどうしても見たくなったのでした。仏像と言えば、天平・白鳳時代の仏像か、慶派の写実的で完成度の高い仏像を展覧会でよく見ていますが、ナイーヴ絵画のような素朴な仏像を見る機会は滅多にありませんでした。昨日になって突然展覧会行きを言い出した私に、家内は快く同行してくれました。今日の午前中は工房で陶彫制作を行い、午後になって東京駅にあるステーションギャラリーに出かけていきました。これが今年初の展覧会散策になりました。家内は津軽三味線を弾くこともあるので、東北出身の師匠の言葉のイントネーションと陸奥の素朴な仏像が重なり合って、津軽三味線の音色が聴こえるようだと感想を漏らしていました。私は微笑みを湛えた仏像の表情を眺めながら、日々の辛い仕事に人々は優しさによる救いを求めたのだろうと考えました。図録による解説を含めた詳しい感想は後日改めます。平日だというのに展覧会場には多くの鑑賞者が来ていました。私もそうですが、高齢者が多いと感じたのは、冬季休業が終わったために若い世代の人たちが見に来れなかったのかもしれません。なぜなら、この仏像を見て「かわいい」を連発しそうな子たちが多くいる世代には、ぜひ見せたい展覧会だからです。