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映画「メンゲレと私」雑感
「ホロコースト証言シリーズ」3部作の三作目「メンゲレと私」を観てきました。前2作を私は岩波ホールで観ていましたが、今回は横浜のミニシアターで上映しているのを知って早速出かけたのでした。3部作とも私は一人で行きました。いずれもオーストリアで制作されたドキュメンタリーで、これを残しておかなければホロコーストの実態が分からなくなるという思いがあったのだろうと思います。解説を引用いたします。「『メンゲレと私』は1930年代から40年代にかけて、苛酷な運命に翻弄されつつも奇跡的に生き延びた、とある少年の数奇な人生を描いている。それは、少年だったダニエル・ハノッホが、生まれ故郷であるリトアニアのカウナスから、ユダヤ人ゲットーや幾つかの強制収容所での生活を経て、パレスチナまで辿り着くまでの『放浪の日々』を記録した、成長物語でもある。ダニエル・ハノッホの家族がナチ・ドイツによってゲットーに収容された時、ダニエルはわずか9歳だった。その後、12歳の時に、ダニエルはアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に連行されることになる。彼は、ランぺと呼ばれる降荷場で、木製の荷車に死体や荷物を乗せて、クレマトリウム(ガス室や焼却場などの複合施設)へ運ぶ仕事に従事させられたのだ。時に彼は、双子の人体実験で恐れられ、”死の天使”と呼ばれれていたヨーゼフ・メンゲレ医師の模範的な囚人役を務めねばならず、さらには戦争末期に、西部へ向かう”死の行進”にも連行された。終戦間際、オーストリアにあったマウトハウゼン強制収容所とグンスキルヒェン強制収容所で、ダニエルはカニバリズムを目撃している。」ここで私は身の毛がよだつ戦慄を覚えました。従来のホロコーストには登場しなかったカニバリズム、つまり人が人肉を食らう行為が初めて語られ、そんなこともあったのかと認識しました。ダニエルはこれを真っ向から否定し、戦時下でもやってはいけない行為としていたのには、人間としての最低限の品性があったと思いました。映画のほとんどはインタビューによるものですが、語られる内容の悲惨さに改めて驚愕し、現在もイスラエルとハマスの間で戦争をしている現状を考えると、決してこれは昔のことではなく現在進行形で行われている虐殺行為なのだと自覚しました。