Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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横浜の「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展」
先日、横浜にあるそごう美術館で開催されている「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展」に行ってきました。水木しげるは妖怪キャラクターを駆使したアニメにヒット作品が多く、国民的な漫画家として認知されています。私も「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」をテレビで見ていて、その魔訶不思議な世界に浸っていた時期がありました。本展では人気の出た作品と併行して、水木しげるは妖怪研究も進めていて、生涯にわたってクオリティの高い作品を作り、それらが数多く展示されていて、私はその迫力に惹き込まれました。妖怪は我が国独自のものが多く、そうした豊饒な伝承や説話をさまざまな画家によって具現化された巻物等もあり、私はその都度展覧会に出かけていって、創造性に富んだ世界を楽しんできました。図録によると「幸いなことに、日本の妖怪種目は数えきれないほど多数に及んでおり、また多様な姿をした妖怪を描いた絵画・造形も存在していました。つまり、毎回違った妖怪を造形して登場させる土壌がすでにあったのです。」とありました。民俗学者から示唆を受けることもありました。「水木さんは柳田國男の『妖怪談義』巻末の妖怪名彙(種目)集を参考に、そこに記された妖怪たちを次々に描いていきました。~略~『柳田國男あたりのものは愛嬌もあり大いに面白いが、形がないので全部ぼくが作った』。」また浮世絵師からも刺激を受けています。「民間伝承の妖怪とともに、水木さんの創造力を刺激した重要な素材に、江戸時代の浮世絵師・鳥山石燕の『画図百鬼夜行』シリーズがあります。そこには多様な姿かたちをしたたくさんの妖怪たちが描かれていました。これらの妖怪に出会ったとき、水木さんは衝撃を受けたはずです。自分と同じように妖怪を描く絵師がすでにいたことを知って感激したに違いありません。」(引用は全て小松和彦著)江戸時代の絵師の系列に漫画家水木しげるも絵画史の巨匠として名が刻まれるのでしょう。これも日本独自の文化遺産と呼んでいいと私は考えています。